4 …… SOUL STATION


SOUL STATION
HANK MOBLY
(ts)HANK MOBLY
(p)WYNTON KELLY
(b)PAUL CHAMBERS
(ds)ART BLAKEY
BLUE NOTE

ジャズメッセンジャーズ初代テナーで
丸みのある甘いトーンで黒人臭いプレイのハンク・モブリーのアルバムに
SOUL STATIONがある。
ピアノは飛び跳ねるようなアドリブのウイントン・ケリー
ドラムはソロプレイヤーを後ろからあおるアートブレーキー
そして堅実なポール・チェンバース。
アルバムタイトルのSOUL STATIONよりも、
THIS I DIG OF YOU が私のお気に入り。
テーマのあとのケリーのアドリブが良い。
JAZZシーンの先頭に立って引っ張るタイプのプレーヤーではないが
仕事のバックグランドミュージックなどにはこのアルバムはピッタリ。
こういうのも好きです。





MILES DAVIS
SAMEDAY MY PRINCE
WILL COME
(tp)MILES DAVIS
(ts)HANK MOBLEY
(ts)JOHN COLTRANE
(p)WYNTON KELLY
(b)PAUL CHAMBERS
(ds)JIMMY COBB
CBS COLUMBIA


マイルスのグループでもコルトレーン
「マイプリンスウィルカム/いつか王子様が」で競演。
おなじみディズニーの白雪姫の主題歌。
マイルスの当時の夫人がジャケットになっている。
この頃ジョン・コルトレーンは独立し、レギュラーのテナーはモブリー。
コルトレーンは表題曲に特別参加の形。
初めにポール・チェンバースのベースのポンポン船のような
イントロから始まるこの表題曲でのマイルス・デイビスの
ミュートトランペットは素晴らしい。
そしてまたポール・チェンバースのポンポンのエンディングで終わる。
この曲のためにレコードを買ったようなものだ。
ホワッとしたつかみどころのないモブリーのソロの後
コルトレーンの鋭角的な切れ目のないアドリブが続くので
モブリーはかすんでしまった感じになる。
マイルスがレギュラーのテナーであるモブリーに
コルトレーンを特別に加えたのもわからないでもない。
モブリーはこのようなカタチではなく上のSOUL STATIONのような
ワンホーンでリラックスした演奏が彼の持ち味なんだと思う。
仕事も同じで、この組織ではダメだけど
他では実力を発揮できることがある。
JAZZを聴けば仕事や人生にも役に立つのだ。(大袈裟なっ……)

マイルスのライブは今は高層ビルが建ち並ぶ前の、
新宿西口の空き地のコンサートで聴いた。最悪のコンサート会場。
チケットを買わなくても通行中にライブを見て聴くことができるので、
係員がスピーカーで演奏中に「立ち止まらないで」と叫び
PA機器の接続が悪く音が聴こえてこない。
肝心のマイルスも交通事故から長い休養後でステージを歩きつつの演奏。
それがトボトボという感じで音もそれと同じような頼りないものだった。
それ以後はマイルスの新作を聴くのを止めた。

マイルスといい、映画の黒沢といい、名を成して長い休養の後の作品は
どうも……というものが多い。巨匠になるのも考えモノかも。
マイルスの音楽も黒沢の映画も以前は熱気とパワーの中に
リラックスしたものがあったが休養後は緊張感だけという感じ。
周りが巨匠の前でノビノビできないのかなっ。


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5 …… A列車で行こう


THE POPULAR
DUKE ELLINGTON

RCA

このあたりでJAZZのTRAINといえば定番、
デューク・エリントンのA列車で行こうを出しておこう。
エリントン楽団の十八番のおなじみナンバーを
ステレス録音で再演したのがこのアルバム。
A列車で行こうももちろん入っている。
JAZZのビックバンドはライブが面白いと私は思っている。
長尺ソロが飛び出したりバトルなど、
スタジオ録音では予想できないことがときどき起きるからだ。
カウント・ベイシー楽団は何回もそれを期待して行った。
最後は御大が歩けなくて電動スクーターもどきに乗って移動していたが
悲壮感は全くなく楽しむことができた。
残念ながらエリントン楽団のライブは生では聴いたことがない。
レコードやテープに残されているもは聴いたが。
このアルバムはライブの面白さこそないが
スタジオ録音なので、音質がいいのと
1枚で代表曲を聴くことができるのが良いところ。
それにしてもエリントンのピアノはモンクに通じるところがあると
いつも思っている。



STUDY IN BROWN
(tp)CLIFFORD BROWN
(ds)MAX ROACH
(ts)HAROLD LAND
(b)GEORGE MORROW
(p)RICHIE POWELL
MERCURY


もうひとつコンボ演奏のA列車。
マーキュリーに残したブラウン&ローチのアルバムは多いが駄作がない。
STUDY IN BROWNにA列車で行こうが収録されている。
イントロとエンディングで蒸気機関車のシュシュポッポという
音の感じを演奏しているのが面白い。
マーキュリーのクリフォード・ブラウンの演奏で私が好きなのは
「ウイズ・ストリングス」。
ブラウンの特長であるムダのない流れるような演奏が
ストリングスをバックに楽しむことができる。

ブラウンが交通事故で惜しまれて亡くなった後、
ローチは黒人権運動に参加して、ドラムソロだけのアルバムなんぞを
出したりして、私に言わすとおかしくなった。
音楽に思想を持ち込むのは良くないのだ。



↑昼間の画面

↑夕方の画面

↑夜の画面

↑朝の画面

パソコンゲームの日本製シュミレーションソフトにもA列車で行こうがある。現在ではシムシティの向こうを張って、ビルなどが立体的になり奇麗で細かなグラフィックを使ったゲームソフトになっている。
左はそのいちばん初めのA列車の画面。8ビットマシン用で2DD/5インチフロッピー1枚に入るシンプルさ。

   
       ↑オープニング画面

私はシャープの「パソコンテレビX1」を使っていて初めのA列車で遊んだ。上からの平面図のみの地図、マウスなんてないのでテンキーで操作だ。電源を入れればBASICが立ち上がるからBASICで動いていたのだ。エンドレス路線を建設すれば事故もないし、お金もどんどん入るなどの裏技もあったらしい。

当時各社から8ビットBASICマシンが出ていた。パソコンテレビX1を選んだのは赤いボディーがあったのと、テレビが見れてパソコン画面とスーパーインポーズができて、それをビデオに録画できたから。デジタルテロッパーなる別な機器が必要だったので、それも一緒に買った。
フロッピーは付いていなくてテープだった。テープでもFILESが使えるなど、なかなか便利だった。ディスクドライブは今では考えられないほど高価だったのだ。
“簡漢”なる漢字ROM不要のワープロソフトもあった。しかしデータのロードで15分ほどかかり、“音読み単漢字変換”では考えながらの入力は不可、清書にしか使えなかった。しかたなく中古でディスクドライブを買って快適な環境になったのだ。このへんの話は長くなりそうなので、終わり。暇と気力が続けばコンテンツ化しよっと。初恋の相手を忘れられないように、初めて使ったマシンには思い入れがあるのだ。

で、今回赤いマニアタイプX1は譲ってしまってないので、テレビ化しているX1ターボZの電源を入れ久々にA列車で行こうを起動、画面を撮影してみた。一時子供がはまっていたけど、プレステや64に熱中して見向きもしなくなった。


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6 …… マンハッタン乗換駅


PASTICHE
THE MANHATTAN
TRANSFER
ATLANTIC




THE 40TH ANNVERSARY,
CARNEGIE
HALLCONCERT.
RECORDING LIVE
NOVENBER 20TH 1976
WOODY HERMAN
THE THUNDERING HERD

RCA

さあ、だんだんネタに困ってきたぞ。次はこれだ。
マンハッタン・トランスファー(乗換駅)
第3作目のアルバにはフォアブラザーズが入っているので購入。
ウディ・ハーマン・セカンドハードのヒット曲だ。
ジミー・ジフリーの作曲で、スタン・ケッツ、ハービー・スチュワード、
ズート・シムズ、サージ・チャロフの4本のテナーを
ヴォーカライズしたもの。
マンハッタン・トランスファーのこのアルバムのバックも
アル・コーン、ジミー・ジフリー、リー・コニッツ、ルー・デルカットの
新4兄弟が演奏に参加している。
マンハッタン・トランスファーはロック調や、
フュージョンのウェザリポートのバードランドなども歌っているが
私はフォアブラザーズがイチバン。
ヴォーカライズだからしょうがないのかもしれないが
テレビのライブやLDでフォアブラザーズを聴いたけど
いつも同じアドリブフレーズなのが不満。
もっといろいろやってもいいのに。


こちらは本家本元のウディ・ハーマン楽団の
バンド結成40周年の記念コンサートライブアルバム。
カーネギーホールで1976年11月20日で行ったもの。
フォアブラザーズではスタン・ゲッツ、ズート・シムズ、
アル・コーン、ジミー・ジェフリーがソロをとっている。
ハーマンはクラリネット奏者としてはイマイチだが
オーケストラをまとめることと育てることは上手なタイプ。
楽団の設立当初からのヒット曲を順を追って演奏する。
リラックスした白人ビックバンドが楽しむことができる。


ART PEPPER
MEETS THE RHYTHM
SECTIO

(as)ART PEPPER
(p)RED GARLAND
(b)PAUL CHAMBERS
(ds)PHILLY JOE JONES
CONTEMPORARY





ART PEPPER + ELEVEN
MODERN JAZZ
CLASSICS

CONTEMPORARY


もうひとつフォアブラザーズを。
アートペッパーと言えばコンテンポラリーレコードの
「ミーツ・ザ・リズムセクション」。
ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥで
あまりにも有名なアルバム。
マイルスのバンドがウエストコーストに演奏に来たときに録音したもの。
彼の自伝によると、かなり麻薬に溺れていた時期。
プロデューサーのレスター・ケーニッヒは
イーストコーストの有名バンドのリズムセクションが
ウエストコーストを訪れたときを見逃さず録音した。
だからこのタイトルというわけ。

コンテンポラリーにはペッパーの録音は多い。
「プラス・イレブン」、ここにもフォア・ブラザーズが収録されている。
サッカーと勘違いしそうなタイトルだが、
小編成のビックバンドといったところ。
マーティ・ページのアレンジに乗って、ペッパーはテナーを吹いて、
4兄弟のサウンドを再現している。
あまり話題にならないアルバムだが、
モダンジャズ・クラシックとタイトルされているように
JAZZでは有名な曲ばかりなので私は好きです。

ペッパーの初来日にはすっ飛んで行った。
ウエストコーストでは大人気のバイブのカル・ジェイダーのバンドに
急遽飛び入りで参加すると聞いたからだ。
真相は日本では不人気のジェイダーでは客が入らず
日本で人気があり麻薬から縁を切ったばかりのペッパーを加えたらしい。
胸に麻薬療養の後だというコプがあり、
1曲ごとにコップの水を飲むペッパーの演奏は素晴らしかった。
ジェイダーは自分のソロには拍手が少なく、
ペッパーのソロにはすごい拍手なので動揺したのか
バイブではなくマイクを叩いていた。
このときの様子は異国での盛大な拍手に感激したことが
彼の自伝にも書かれている。
その後、ペッパー自身のバンドのライブも数回聞いたが
重い感じで、初来日の喜びが全身に出ている演奏にはかなわない。
やっぱりペッパーはウエストコーストっぽい軽いテンポに乗った
演奏が良いのだ。


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